はじめに。こちらの記事をお読みになっている方はフィリピンで飲食を開業されようとしている方だと思いますので、まず最初にお伝えしたいことがあります。
フィリピン飲食は困難の連続です。
・日本の飲食店より売り上げが上がるって聞いた
・人件費が安いから利益が残しやすいと聞いた
・日本食ブームが来ていると聞いた
こういった理由で毎月何十人という方がマニラを訪れ、出店を決意されます。
ただ、
・オープン前にお金を持ち逃げされてオープン出来なかった
・法人設立、ライセンスの取得に半年以上かかった
・従業員の不正、汚職が度々発生した
・日本の味を再現できずに集客が出来なくなった
こういった理由から数多くの企業が撤退するのも事実です。
問題の8割は先人たちが同じように経験し、それを乗り越えられた企業もあれば、乗り越えられなかった企業もあります。
私はマニラに約9年滞在し、飲食店を3年ほど経営しております。飲食店が2店舗あり、そのうち1店舗は日本人向けでここで多くの飲食店オーナーと繋がることが出来ました。
皆さん似た悩みを抱え、毎日悩みながら経営されています。そういった悩みをたくさん聞いていると、
「あれ、これ前にも聞いたな…」「うちでもあったけど同じことが起きたんだ」
と思うことが増えました。知っているか、知らないかで損失が生まれることがたくさんあるのがフィリピン飲食で、これらの情報は出来るだけ公平に伝えるべきだと考えています。
私たちは自社でも飲食店を展開しつつ、日本から進出する企業様のサポートも格安で行いたいと考えています。詳しい相談などは公式ラインよりお問い合わせ出来ますので、お気軽にご連絡頂ければ幸いです。
それでは本題の飲食店開業ステップに移ります。

1.ビジネスプランの作成
この点は日本の飲食店開業とほぼ同じやり方ですので、日本で既に飲食店を経営されている方には重複する内容だと思いますが、注意すべき点も合わせて書いていきます。
市場調査: ターゲット市場、競合店、フィリピン人の好みを調査します。
フィリピンは格差の大きい国なので、例えば同じマカティでも客単価が50php ~80phpの屋台ビジネスからフルコースで10000php以上のレストランまであり、かなり幅が広いのが特徴です。高級店が成立しにくい通り、低価格帯が成立しにくい通りもあるため、色んな場所に足を運ぶ必要があります。
ショッピングモールも立地やブランドによって顧客層が全く異なっているため、モールに出せば安泰!ということもありません。モールに出店する場合もご自身のビジネスとマッチするモールを選択していく必要があります。
また日本人の方がよく失敗してしまう例としては、日本で流行っている飲食店のケースをそのまま出店されるというパターンがあります。フィリピンでは低所得層、中流層、富裕層によって住んでいる場所、移動手段、仕事に至るまで全く異なるので、この点を意識しなければいけません。
例えば価格は一般層向けなのに、内装は低所得層、味は富裕層に向けて作ったりすると失敗しやすくなります。低所得層に向けてお店を作る場合は、競合のお店をよく見て、価格帯や味もそれらに近づける必要があります。
コンセプトの決定: メニュー、サービススタイル、店舗のテーマを決定します。
私のレストランはこのコンセプトの決定が曖昧だったため、フィリピン人の集客が困難になってしまいました。私たちが思っている日本食とフィリピン人の方々が連想している日本食はかなりギャップがあります。フィリピンにある日本食レストランで流行っているお店の傾向を注視していく必要があります。
何がフィリピン人の心を掴んでいるのかをしっかり観察しましょう。日本人の方が見ると、レベルが低いように見えることもあるのですが、単純にレベルを上げればいいわけではなく、フィリピン人の心をどのように掴んでいるのかを理解する必要があります、
また日本人が美味しいと感じやすいものとフィリピン人が美味しいと感じやすいものも全く違うため、この点も注意が必要です。例えばフィリピンではジョリビーが人気ですが、私たちがジョリビーよりも美味しいハンバーガーを提供したとしても、フィリピン人の舌には合わない可能性があります。
まずはジョリビーがなぜ支持されているのか、という原因を追求していきましょう。そういった前提条件をしっかりまとめた上で、コンセプトを決めると日本人の独りよがりなビジネスになることを回避できます。
財務計画: 初期投資、運営費、収益予測を含む詳細な財務計画を立てます。
フィリピンだから安く出店できるだろうというのは間違いで、様々なコストが上がっており、当初の計画の1.5倍〜2倍程出店費用がかかってしまう会社も少なくありません。例えば2025年現在、マカティで物件を借りる金額は1坪で12000円〜30000円となっており、内装費用も業者に依頼すると非常に高くつきます。
また人件費も安いものの、日本人1人が出来ること=フィリピン人1人が出来ることではありません。おおよそフィリピン人3人〜4人で日本人1人が働くのと変わらないことがよくあります。なので人件費も安いですが、その分出来ることも少ないということを計画に入れていく必要があります。
私どものサービスでは食材の仕入れやキッチン設備の購入場所、オペレーションのアドバイス、法人設立サポートなど手頃な金額で提供しておりますので、こちらも公式ラインよりお問い合わせいただければご対応いたします。

2.ロケーションの選定
立地条件: 人通りがある場所、ターゲット市場に適したエリアを選びます。
地図で見ればほんの数百メートルに過ぎませんが、通りを1つ挟むだけで家賃が大幅に下がったり、顧客層が大きく変わります。そもそも空き物件が少ないため、自由に選ぶのは難しいですが、妥協してしまうとコンセプトと合わず、集客に相当影響してしまうこともあるので注意が必要です。
また日中と夜で人通りが大きく変わる通りも少なくありません。日中だけで判断するのではなく、夜の人通り、土日の人通りなども注視してみましょう。物件を見つける際に多少単価が高くても夜、土日でも人通りが十分あるのであれば、高い物件を選択する方が後々の集客に生きる可能性があります。
賃貸契約: 物件を見つけたら賃貸契約を締結します。
フィリピンでは通常、物件を借りる際に賃貸価格の4ヶ月〜6ヶ月分の費用がかかります。(前家賃3ヶ月分とデポジット3ヶ月分など)賃貸契約についても日本と契約内容が全く異なるため、注意が必要です。例えば毎年5%家賃は上昇し続ける、という項目があったり、現状復帰についても様々なパターンがあるため、よく読み込む必要があります。
コロナ中に様々な飲食店が苦境に立たされましたが、契約書通りに賃貸は払ってくださいという物件もあれば、これはイレギュラーだから賃貸の支払いを待つよという物件も実はかなりありました。オーナーとの関係性も非常に重要なので、良い物件を見つけられるに越したことはないです。
3.法的手続きと登記
ビジネス名の登録: 個人事業主(DTI)もしくは法人(SEC)でビジネス名を登録します。
個人事業主、法人それぞれにメリット・デメリットがあります。よく吟味してから選択しましょう。またビジネスの名義をフィリピン人にされる方が多いのですが、名義人とのトラブルでお店を乗っ取られてしまった、初期費用を全て取られてしまったという話を聞いたのは1度や2度ではありません。この点にも気をつけましょう。
ビジネス許可証の取得: バランガイ・市役所からビジネス許可証(Business Permit)を取得します。
ビジネス許可証の取得は代行依頼される方が多いですが、私たちも行っています。日本人が監修しているため、非常に早く取得まで至っています。安価でスピードを重視したい、という方は公式ラインからぜひお問い合わせください。
BIR登録: フィリピンの税務局(BIR)に登録し、税務識別番号(TIN)を取得します。
フィリピンの税務局への登録は必須となります。また会計業務も依頼する必要がありますが、私は最初の税務をフィリピンの会社に依頼したところ、月1のレポートを行ってなかったことが途中で発覚し、ペナルティを払うことになりました。この辺りの会計業務もプロに任せたら安心、というわけではないので、様々な意見をもらう方が賢明です。
消防安全証明書: 消防署から消防安全証明書(Fire Safety Inspection Certificate)を取得します。
その他衛生パーミットや酒類販売のパーミットなどを取得します。これらに漏れがあると、追加のペナルティがかかるため、注意が必要です。業種、業態によって必要な許可が違うので、抜け漏れのないように取得しましょう。
4.店舗の設計と準備
インテリアデザイン: 店舗のインテリアデザインを計画し、施工業者を雇います。
フィリピンで納期通りに事が運ぶことはほぼありません。業者が来ない、業者がサボる、業者がミスを連発するなどは当たり前。ここも相当テコ入れをしないと完成まで相当時間がかかってしまうので、注意が必要です。基本的には毎日現場を見たり、監視カメラをつけないとサボってしまうので、この辺りも注視しましょう。
設備と備品の購入: キッチン設備、家具、POSシステムなどを購入します。
日本のようにググれば解決する、ということは全くなく、仕入れが非常に難しいものもあります。物によっては日本から入れないといけないものもあるため、リストアップをしっかり行いましょう。フィリピンで買えて質が高いもの、低いもの、日本でしか買えないものをそれぞれリスト化し、最適な仕入れルートを確立しましょう。
メニューの試作と確定: 提供する料理の試作を行い、最終的なメニューを確定します。
特にラーメンなどでよく起こるのは、フィリピンの食材で同じ味が再現出来ないという問題です。フィリピンでは野菜、肉の味が日本のものと全く異なるので、試作で調整が必要です。メニューの試作とフィリピン人がどの程度調理ができるか、レベルをしっかり把握しましょう。
5.従業員の採用とトレーニング
採用プロセス: シェフ、マネージャー、ウェイター、キャッシャーなど必要なスタッフを採用します。
フィリピンでは日本人のようにマルチタスクがこなせるタイプの人が少ないので、職種ごとに採用します。給料によって採用出来る人が異なるものの、飲食店はなかなか優秀な人材の確保が難しいので、ここにはしっかり時間をかけていきましょう。特にキッチンスタッフは経験があっても何もできないことが多々あるので注意しましょう。
トレーニング: サービス、衛生管理、メニューなどのトレーニングを実施します。
私も飲食経験者を多く採用しましたが、衛生概念というものが全くと言っていいほど根付いていません。肉を触った後にあちこち触ったり、肉を切った後にサラダを切ろうとしたり。これらは日本企業の高い水準をしっかりトレーニングしましょう。
6.マーケティングとプロモーション
ソーシャルメディア: Facebook、Instagramなどのソーシャルメディアアカウントを開設し、店舗の宣伝を行います。
SNSに関してはまだまだ攻略出来ている企業は少ないので、改善のしがいがある部分です。当然ですが、日本とは全くやり方が違うので注意が必要です。平均年齢が24歳の国なので、若者に対してのマーケティングが必要です。Facebook広告やインフルエンサーマーケティングなど様々な手法がありますので、効果的なものを選択していきましょう。
開店イベント: ソフトオープンやグランドオープンのイベントを企画し、宣伝します。
日本人に向けての開店イベントとフィリピン人に向けての開店イベントもやり方が異なるので、ターゲットに向けてしっかり認知を取っていきましょう。フィリピン人に向けてはやはり派手なオープニングイベントで認知を取っていくのが基本スタイルです。
7.開業と運営
ソフトオープン: 正式開業前にソフトオープンを行い、システムのテストやスタッフの実務トレーニングを行います。
多くの企業はソフトオープニングで改善を行います。オペレーションが思った通りに行かないことばかりなので、そこをいかに迅速に改善するかで企業の真価が問われます。メニューの売れ行きも100%想定通りになることはほぼないので、売れ筋のメニューの調整、価格の微調整などを行なって、集客のネックになる部分を出来るだけ修正しましょう。
正式開業: グランドオープンを行い、地域の顧客を迎え入れます。
ここからようやく出発です。様々な荒波を乗り越え、フィリピンドリームを掴みましょう!
最後に
フィリピンでの飲食をオープンされる方は、「安くオープン出来て、簡単に売り上げが上がるだろう」と思ってる方がたくさんいます。現地の日系企業を見て、このレベルならウチでも出来る!と思ってしまうからです。
現状としては全くそんなことはなく、フィリピン人のマネジメントは仮に言語が堪能だとしても一筋縄では全く行きません。現地の日系企業も日夜マーケティングを積み重ね、改善をしています。ですが日本のようにはいかないのです。
その点をしっかり加味した上で、日本の技術、サービスを持ち込むことができればブルーオーシャンが待っていることもまた間違い無いでしょう。
実際に店舗経営をしている話を聞きたいという方はぜひ公式ラインより無料の30分の面談をお申し込みいただければ幸いです。
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